読後感シリーズ

アウトプットの練習用です。

女王蜂のライブ行ったメモ書き(未完)

戸田市文化会館のロビーは洒落た身なりの人々で埋まっていて、まるでどこかのブランドのコレクションのようだった。「関東はおしゃれなファンが多い」と聴いてクローゼットの中に眠る青いスウェードのコートを羽織り、ジュリ扇を握って赴いた女王蜂の初めてのライブ。どこを見ても絢爛な服装が目に入るので、心は一瞬で昂った。

心地の良いクラシックの流れるホールに入り、指定席に座ってしばらくするとブザーと共に会場は暗転する。ステージの中央、瀟洒なカトラリーを並べた白いテーブルクロスの花道にスポットライトが当てられると、アーティスト写真の衣装を着こなす4人が集う。淑やかな食事風景は次第にナイフを舐り獣のように乱れる。再び暗くなるとテーブルを離れ、それぞれの楽器の元へ歩み寄る。

これから何が始まるのか。高鳴りはじめた心臓に耳を傾けていると、幕の奥からロングブーツの赤い靴紐を揺らしてアヴちゃんが現れる。

今夜の始まりは「火炎」。炎の揺らめきのように翻されたジャケットの裾と、地の底から響くような歌声。一瞬で魅入られる。

艶やかな夜の空気のように優しく切なげに紡がれる「つづら折り」。「傾城大黒舞」と声が掛かれば、観客はどこからか持ち出したジュリ扇を天に掲げる。小気味良い舞踏のステップにアヴちゃんの長い手足が良く映える。

予習で聴いた中でお気に入りだった「しゅらしゅしゅしゅ」が始まって、嬉しくなって自分も藤色の扇をぎこちなく振ってみる。しなやかに振るのは経験が必要だ。

「Serenade」で儚げな大人の色香を見せたと思えば声色をガラリと変えて、いたいけな仕草で見るものの心をくすぐる「ワンダーキス」が始まる。ここまで曲間どころか曲の1小節の合間に音の高低、声質を自在に操り奏でるものだから、個性豊かなキャラクターを抱えた歌劇を鑑賞している錯覚を覚える。

一変、観客の高揚を誘う「スリラ」、「ヴィーナス」、「デスコ」の展開に観客はその場で跳ねながらジュリ扇を更に大きく振りまくる。特に「Dear!」と声が響いた瞬間、声は出さずとも会場全てが沸き立ったのを感じる。ここにきてMVで馴染み深い3曲が立て続けに訪れ、アヴちゃんが挑戦的な笑みでもっと手を上げろと言わんばかりに煽るので、私もヒールを椅子の下に脱ぎ捨てて踊りまくる。

妖しげな低音が響く中、ジャケットの背中に光る龍と蠱惑的に揺らす腰つき。「P R I D E」のダウナーなグルーヴに火照った体を預ける。「し、んきょく!」と呼び掛けて「KING BITCH」。


(未完)